ボードゲーム大会を企画した
ボードゲーム大会を企画した。六人の仲間で集まり、一日中ボードゲームで遊ぶというものだ。その日は冬の最後の寒さが残っていて、マフラーや帽子で身を固めてから家を出た。久しぶりの電車は知らない路線で繋がっていて、私は初めての道を歩いた。駅の広場で仲間の一人と合流し、買い出しに出かけた。近くのスーパーで、飲み物と軽いお菓子、それから昼食を買い込む。続けて百円ショップを回り、コップや紙皿などの食器類も揃えた。会場はオフィスビルの一室。参加者の伝手で、裏口からスムーズに入室できた。
会場に着き、昼食を広げていると、ぽつぽつとメンバーが集まってきた。顔を合わせるのはずいぶん久しぶりだったが、付き合いは長い。挨拶もほどほどに、すぐボードゲームを始めた。
当日遊んだゲームのリストは以下の通りだ。
- 佐藤です。好きなおにぎりの具は梅です。
- ito
- ソクラテスラ
- cheating moth
- BLUFF
- black stories
- ニャーニャーゲーム
- メイメイ
- ドミニオン
六時ごろに、再び買い出しに出かけた。外では、はらはらと雪が降っていた。買い出し組は全員、会場近くのスーパーに来るのが初めてだったので、私たちは売り場を右往左往した。どうにか目当ての大皿寿司を見つけ、副菜にシュウマイとエビのサラダを選んだ。チーズハンバーグも候補に上がったが、私たちはあまり若くないので、食べきれないだろうという判断でやめた。
何を話したのかはもう覚えていない。ただ、リラックスして楽しめたことだけは、はっきりと覚えている。私は普段、自宅で仕事をしているので、家族以外と顔を合わせて会話をするのは久しぶりだった。本当はボードゲームだけでなく、もっとたくさん雑談をする時間も作りたかったけれど、気づけばゲームに夢中になっていて、あっという間に終わってしまった。解散したのは、九時だったか十時だったか。
帰りの電車で、不思議と切ない気持ちになった。街灯の灯りを頼りに一人ぼっちで歩く。「終わってしまったな」と何度も呟いていた。妻と息子は実家に泊まっているので、帰宅しても誰もいない。灯りの消えた家は、余計に寂しさを膨らませた。そういうとき私は、なぜか YouTube で怖い話を見る。
ゴミ出しのために外に出ると、夜は刺すように冷たかった。空は雲ひとつなく、星が鮮明に光っていた。少し心が動いた。星の永続性、宇宙の広大さ、そういったものに身を包まれているような気がして、足を止めた。私はちっぽけだ。私も、息子も、妻も。砂粒のように。どうなっても、何も変わらない。心のつかえも杞憂にすぎない。宇宙がそう言っている。
そんなことを考えながら、家の扉を静かに閉めた。