シンクロニクルの思い出
2022年ごろにリリースされたシンクロニクルは、わずか1年でサービスを終了したゲームだ。 プレイできる時間は短かったが、私の中では非常に思い出深いゲームになった。 今更ながら、その記憶をここに残しておきたいと思う。
ベータ版の感動
チェインクロニクルになんとなく倦怠感が漂っていた頃、新作シンクロニクルの発表があった。
「真のPRG」という大袈裟なキャッチコピーや「シン・エヴァンゲリオン劇場版」と名前が重なったことが災いして、炎上した。 私はチェインクロニクルにどっぷり浸かっていたので、同じ開発元なら問題ないだろうと、あまり気に留めなかった。 それよりも、どんなゲームになるのだろうと思ってワクワクしていた。
ラジオや動画で情報を追いかけながら、βテストにも参加した。なんて面白いゲームなんだと思った。 シナリオや世界観に目新しさはないけれど、ビジュアル面は十分魅力的だった。 そして何よりも、一度死の運命を擬似体験した後に、未来を塗り替えるという演出が力強かった。 プレイアブルキャラクター二人のうち、どちらか一方を選択しなければならない。 ともに戦えるのは一人だけ。その選択を迫るまでの導入が素晴らしかった。 アンネとギュンター、どちらの仲間も失いたくないと思ったし、それだけキャラクターが作り込まれていた。 その重たい感情を支えて走れるだけのBGMも揃っていた。
製品版の絶望
リリースされて数ヶ月がたった頃、私は絶望していた。 シンクロニクルのゲーム部分が全く楽しめなかったからだ。 それでも、ゲーマーの習性に突き動かされて毎日起動していた。 矛盾しているようだが、本当に楽しくなかった。 「自分は何をしているのだろう」と問いかけたくなるほど虚無の時間だった。
ストーリーは興奮しながら読んでいたけれど、それ以外のほとんど全てがつまらなかった。
リリース当時は妻とも話していて、一緒に動画を見たりもしたけれど、すぐに話題にも出さなくなった。 期待していただけに、悲しみが深かった。世間的にもかなり評価が低くて悲しかった。
もうほとんど記憶は薄れているが、当時の失望感を記録した長文のメモが残っている。 後半は裏返って冷静になっているとはいえ、読むに耐えないので飛ばした方が良いかもしれない。
シンクロニクル。つまらない。やることがない。
ダンジョン探索しかない。そして、ダンジョン探索が100回も200回も楽しめるような作りになってるかというと、そんなことはないです。どう考えても飽きます。さすがにつまらんなと思います。一応武器のドロップだけは変わるんですけど、それ以外は虚無です。味のしないガムを噛んでるような気分になります。
まあ。いろいろ。イベントもありましたが、ランダム性がなくて新鮮さもないし工夫するべきこともない。ただそういうところに開発資金を使えないんだろうなという雰囲気はあります。
ローグライクみたいなのもあったけど、あれはローグライクやってる人舐めてるとしか思えない。ただランダムに敵配置してランダムにバフ与えてるだけだから本当に脳が麻痺する。プレイヤーがやるべきことってなんなんだろう。シナジーとかブレイクスルーとか何にもない。萎え萎えの萎え。
協力イベントも前時代的。お金注いで特攻とか勝って、イベント中にゲームに張り付いて、競い合って欲しいのはわかるけど。わかるけどユーザはそんなこと望んでないんだ。これっぽっちも楽しくないんだ。
つまらなさすぎるので改善案を考えてみる。愚痴を書くよりは改善案の方がいいと思うので。
- モノリスの入手経路が少なすぎるのでレアドロップとかにしたらどうか
- せっかく食材イベントがあるけど、生える場所が決まっててつまらないので、これもレアドロップにしたらどうか
- マップ上のコインの配置は世界観に合わなくて不自然すぎるのでやめる、代わりにお金要素はリーハンから報酬を受け取る。ときには特定モンスター討伐などの依頼を受けるとかにしたらどうか。換金アイテム(フレーバーつき)を宝箱に入れるのもありだと思う
- アビリティパネルの各スキルレベルの上限を撤廃して戦利や個性の幅を広げる、または上限解放のためのアイテムを追加する
- 宝箱に武器しかないのですごいつまらない。宝箱に魔具、薬草、食材を配置して驚きとかがあるといい
- 宝箱に鉱石のような武器素材を配置し鍛冶屋で武器の製造を可能にする(高価にしてコインの使い道を増やす)
- マップの複雑さやギミック、トラップなどを増やして達成感を与える。単調さの排除。
- マップにランダムイベント。フレーバー。周回の退屈さを紛らわすため。
- 低確率でボーナスマップ出現。レア宝箱やレアドロップ確定モンスターなど配置。
- 武器の合成を可能にする(特性の継承)
- 武器の鋳造を可能にする(設計図アイテムがあるとなおよい)
- 武器の熟練度を無制限にして戦闘回数で上がるようにする(レベルキャップ時の継続的育成要素)
- 妖精(蝶々)を武器強化や妖精のレベル上限開放に使うようにするかモノリス、スキップチケットと交換できるようにして通貨リソースとして機能させる
- 妖精は全種類一体まで蝶々と交換可能にする(非常に高額)
- 妖精とお別れするときにモノリスを置いていく
- 妖精に親愛度を設ける
- キャラクターが倒れたとき控えメンバーをすぐ参戦させる
- キャラクターが倒れたとき薬草が効果25%で自動発動
- ヒット数制限技を緩和するアビリティや魔具を追加する
- 鍛冶屋や妖精ショップの店員に親愛度を設けて、数値とともに商品追加やエピソード追加
- 通貨リソースで購入可能なデイリー商品の追加
- 味方の範囲攻撃を全て20%拡大(ユーザ体験の改善)
- ゲストキャラクターがいない場合控えから一人参戦
- アナザースタイルと普通のスタイル両方持ってた場合のボーナスとしてアビリティパネルの開放またはポイント追加
- 武器などショップ追加。ショップ毎に傾向が異なり店長がいて親愛度がある(無意味な街に意味をもたせる)
- 街は最初瘴気に覆われているが物語進行したりモンスターを倒すと豊かになる
- 街の景観イラスト好きなとき見に行ける。
- 街に闘技場。
- 初期配置を決定する陣形を追加(種類によってわずかにバフを得るなど)
予算を使わずにちょっと楽しくなる要素のアイデアとしては、モンスターサイズをランダムにするというのはどうでしょう。モンハンだと昔から金冠サイズとか言って、かなり小さいやつとか、大きいやつとかがいます。敵の強さとかは大差なくてもこれだけで視覚的には楽しめそうです。大きいとレアドロップしやすいとかオマケがついてるとなお嬉しいですね。
同じ路線でいくならポケモンで見られるような色違いモンスターを出すのもいいかもしれません。ちょっとした驚きがありますね。黒化変異体とか、特定のマップに必ずウロウロしてますが、そうじゃなくてランダムにすればよかったのになと思います。ドロップも良いものにすれば、黒化変異体に会うために周回するとか別な目的もできてモチベーション上がるんじゃないかなと思います。見た目は単に黒くするだけじゃなくて、なんかキラキラしてるとか、見たことない技を使うとか特別感を盛ってもらえたらよいかと思います。魔人とかもね、レアボスとして出すのはありかなーと思います。
あと、レベルキャップに到達するとキャラクターが成長しなくなって飽きるというのもあります。そういう観点で攻めるならレベルキャップ後も蓄積する熟練度とか努力値みたいなものがあっても良いかもしれません。
スターオーシャンにみられたような低確率で言ってくれるレアボイスとかもいいですね。それ自体は意味がなくても、新鮮味が出てくるし、他のキャラは何ていうんだろうみたいな好奇心もくすぐられます。
ドラクエにあったように、モンスター図鑑を用意して、同じモンスターを100体倒すと詳しい情報が得られる、とかもいいですね。記念品やご褒美もあるとなお良いです。マップ自体に飽きていても取り組めます。同じくドラクエで言うと、小さなメダルが落ちているのでも良いです。
また別の視点で考えてみると、見ているときの小気味よさを追求してほしいというのもあります。キャラクターの背面にカメラがあるので、いつもキャラクターが戦ってる後頭部を見てばかりになり、結構退屈です。オートプレイのときくらいは見栄えのするカメラ位置にグリグリ動いてくれたら良いのになと思います。もちろん必殺技の演出のときには見栄えのするカットになるんですが、普段から必殺技を連発するわけではないので。
物悲しいのは霊蝶ですね。拾ってもほぼ使い道がないですし、オートランでも無視されています。こんなに存在感のないリソースはなかなかないです。見た目は青白く光っていて中々に雰囲気があり世界観にも沿っているオブジェクトなのですが、本当に飾り物で役に立ちません。これが他のアイテムの売買や妖精の獲得などにつながるようなら霊蝶探そうという気にもなるんですが、雀の涙の経験値をくれるだけです。1つのマップに一匹だけ、必ずぽつんと配置されています。これは本当に意味がわからないです。信じられないくらいしょうもない設計ミスだと思います。理想は通貨リソースとして機能することですが、そうでなくても、次の戦闘で行動力を1増やすとか、攻撃力が20%上がるとか、バフがかかるようにするだけでもマシになると思います。
ともかくこういったメモを残す程度には思い入れがあって、深い絶望があった。 当時、子供が生まれたばかりだったので、半年くらいで引退することにした。 最後まで続けていたら、もっと深い傷跡になっていたかもしれない。
おわりに
当時、期待と失望が重すぎてどこにも公開できなかったけれど、やっと記事にすることができてよかった。胸のつかえがとれたような気がする。
こうして振り返ってみると、なんとも惜しいゲームだったなと思う。 ベータ版で体験した感動は、他の名作に勝るとも劣らないものだった。
『シン・クロニクル』は、2023年5月31日(水)11:30をもちましてサービスを終了いたしました。
— シン・クロニクル公式@イコナ (@sin_chronicle) May 31, 2023
最後までプレイいただいた皆様に、改めて厚く御礼申し上げます。#シンクロニクル pic.twitter.com/oCBWh0l4ay
このすごく書き込まれたイラストを見ても、勿体無いなあと溜め息が出る。 それでも、こういう傷を糧にして、また次のゲームを遊んでいきたいと思う。